人間の身体はいろいろな材料でできています。

いちばん多いのは水で、重さのうえでは体重の6割を占めます。あとは何が多いのでしょう?

なかなか単純には分けることはできませんが 、

脂質・タンパク質・炭水化物、そして塩分や骨などのミネラルなどが複雑にからみあってできています。

そして脂質(脂肪)は、コレステロールと中性脂肪に分かれます。

そのうち、コレステロールには大きく分けて2つの役目があります。

1.身体を形作る細胞を包む膜などを作るため、あるいは生命活動を続けるための材料を作るため。

2.食べ物の中のコレステロールを身体に取り込むため、あるいは身体の中で余ったコレステロールを回収するため。

この余ったコレステロールが、生活習慣病で問題になってきます。

余ったコレステロールが、 生活習慣病でポイントとなる「血管をいためてしまう」原因となるからです

人間の体重の60%が水と書きました。コレステロール(脂肪)は油です。

水と油は混じり合いません。ドレッシングを作るときに、放っておくと水と油はすぐ分離してしまいますよね。

血管は身体のいろんなところに、水に溶けた栄養を送っています。その血管の中で水と油が分離してかたよりができてしまったら、効率よく栄養を分配したり、老廃物を回収したりできないでしょう。

詳しくは書きませんが、人間の身体は巧妙な手段で油を水に混ぜて運んでいるのです。

具体的には、 血管という水路の中を、「VLDL(超低比重リポ蛋白)」というコレステロールと中性脂肪でできた油の球が流れています。

この油の球が身体中に中性脂肪を配って回ります。

だんだん中性脂肪が減ってくると、ちょっと重くなって名前が「LDL(低比重リポ蛋白)」という名前に変わり、中性脂肪を配る役目が終わります。

「LDL」のコレステロール・・・お気づきの方もいらっしゃるかもしれません。

水という、相性の悪い相手の中をかいくぐり、身体中に大切な中性脂肪を一生懸命配り、その役目を終えた油の玉・・・この頑張り屋さんが、世に言う「悪玉コレステロール」なのです。

ちょっとかわいそうに思います。

ではどうして「悪玉コレステロール」の悪名を付けられてしまったのでしょうか?

国立循環器病センター ホームページより引用

LDLコレステロールは、役目を終えると肝臓に吸収されるのですが、吸収されずに動脈にへばりついてしまうものがあります。

これが動脈を堅くしたり、細くしてしまう原因になります。

動脈の中にこぶのようなものを作り、そこに血液がくっつくと、血液が固まってしまいます。

やがて血液の大きな塊ができて、それがこぶから離れ、血流に乗り、細い血管に詰まってしまうのです。

その先が脳なら「脳梗塞」、心臓なら「心筋梗塞」が起こってしまいます!

では、結局コレステロールは悪者なのでしょうか?

いえいえ、LDLコレステロールを増やさないために頑張っているコレステロールもあります。

HDLコレステロールです。

これは、LDLコレステロールが「悪玉コレステロール」と言われるのに対して、「善玉コレステロール」と言われます。

LDLコレステロールに中性脂肪を供給して、VLDLコレステロールからLDLコレステロールになってしまうのを防ぐ役割を担っています。