高血圧・脂質異常症などの生活習慣病は全身の血管をいためてしまいます。

なぜ生活習慣病の治療をするのでしょう。

糖尿病はそれに加えて小さな血管もいためてしまいます。

糖尿病網膜症は失明の危険があり、糖尿病性腎症は血液透析になる可能性があります。

いまひとつピンとこないのが糖尿病性神経障害です。しかし、イメージがわかなくてもあなどってはいけません。なかなか厄介な病気なのです。

神経は脳から出て、脳から離れるほど細くなっていきます。このため、足の先には細い神経がたくさんあり、それに血液を送る血管も細くなります。

糖尿病で小さな血管がいたんでくると、神経の症状として最初に足先に影響が出ます。

はじめは、「はだしで歩いていても靴下をはいているような気がする」というのが有名な症状。

だんだん、「正座をしていてしびれた時の感じがずっと続く」となり、

「足がびりびりして夜が眠れない」と、しびれ感がだんだん強くなります。

このしびれ感は、なかなか薬が効かないので、厄介な症状です。

繰り返しになりますが、糖尿病は合併症を起こさないように、血管がいたむのを防ぐことが重要です。そのために血糖値をよい範囲にしておく必要があります。

しびれを感じる神経以外にも、神経にはたくさんの種類があります。

血圧や消化管の調節を行う自律神経、しびれや痛みを感じる感覚神経、運動をつかさどる運動神経。

それぞれに細い神経があるので、小さな血管が走っています。この血管がいたむと、神経の働きが弱くなり様々な症状が出てきます。

〇自律神経が弱った場合

・急に立ち上がったとき、目の前が真っ暗になったり赤や青の星がちらちらしたことはありませんか?

 急に立ち上がると、一番高いところにある脳へ流れる血液が減ってしまいます。自律神経は血圧を上げることによって、上の方にある脳への血流を確保します。血圧の調節がうまくいかないと、立ちくらみを起こしたり、めまいが続いたりします。

 ・緊張したらお腹が痛くなったことがあるでしょう。

自律神経は、胃や腸など消化管の動きも調節します。

食べたものからまだ十分に栄養を吸収していないのに排泄してしまってはもったいないですし、水分も多いので下痢になってしまいます。

逆に、食べたものから十分に水や栄養を吸収しても、まだ腸に残していたら栄養を吸収する効率が悪いですし、便秘になってしまいます。

このように、消化管の動きがうまく調節できないと、下痢や便秘をしてしまいます。

これらが自律神経が弱ったときの症状です。

(ちなみに、緊張すると自律神経の一つ、交感神経のはたらきが強くなり、胃がギュッと縮みます。この時痛みを感じるのです。)

〇運動神経が弱った場合

 ・運動神経が弱った場合・・・別にスポーツが苦手になるわけではありません。なかなか見えにくい変化なのですが、筋肉が減ってしまうという報告があります。筋肉は使われることによってその量が維持されます。

 使わない筋肉はどんどん小さくなっていきます。(足を骨折をして1ヶ月ギプスを付けると、外した時の左右の足の太さが違うことに驚かれる方が多いです)

運動神経のはたらきが弱ることによって、筋肉の量がへってしまうなんらかの理由があるのでしょう。