みなさんは、自分の足の裏を見ることがありますでしょうか?
何かを踏んで痛い思いをした時以外、ほとんどないと思います。
糖尿病性神経障害が進むと、足の裏の感覚を感じなくなってしまいます。
すると、足の裏をけがしても気づくことができません。
もしも傷からばい菌が入って化膿しても、痛みを感じないので自覚できません。
ばい菌にとっては、糖尿病の患者さんの体内は糖分も豊富だし、温度も36℃で一定、水分もあるので増えるための好条件がそろっています。
どんどん感染が広がり、すぐに足の骨にまで感染が到達してしまいます。
多くの場合、ばい菌に感染しても、抗菌薬(以前は抗生物質と言っていました)の投与を受ければ治ります。
ところが、感染が骨の中まで達してしまうと、抗菌薬がそこまで到達しないので非常に効きにくくなります。
その結果、感染した周囲が大きくダメージを受けて死んでしまいます。これを「壊疽(えそ)」と呼んでいます。
こうなると足を切断するしかありません。
また、感染するばい菌によっては非常に速いスピードで皮膚や筋肉に広がり、数日で命を落としてしまうケースもあります。ガスを発生しながら広がるので、「ガス壊疽」と言われています。
「糖尿病では死なない」、そう思っておられる方も多いかと思いますが、この「ガス壊疽」といつかの機会に触れようと思っています「糖尿病性ケトアシドーシス」は、急速に進んで命に関わる病気です。
糖尿病性神経障害は、感覚がなくなる(痛みを感じなくなる)ことにつながり、ひいてはばい菌を急速に増やす原因となります。
あまりピンとこない合併症かもしれませんが、あなどれない合併症なのです。