合併症という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
簡単に言うと、ある病気に引き続いて起こってくる病気のことです。
糖尿病に特徴的な合併症に、網膜症、腎症、神経障害があります。
それぞれの病気の説明をしていきます。
糖尿病を含む生活習慣病は、全身の血管がいたむ病気だと以前解説しました。
「生活習慣病について」ご参照ください。
とくに、糖尿病で特徴的なのは、小さな血管がいたんでしまうことです。
身体の中で小さな血管がある部分・・・それは、目と腎臓と神経です。
目は人間の体で最も精巧にできた部分でしょう。特に光を受け取る網膜はきわめて緻密な構造をしています。
このため、小さな血管が多くなります。
腎臓も血液から老廃物を仕分ける精密な構造をしています。
神経は脳から出ています。脳から一番遠い足の先は、脳からほぼ身長分ぐらい離れています。
神経が脳から遠く離れ、だんだん細くなっていくのに従ってそれに栄養分を送る血管もだんだん細くなっていきます。
ですから、目、腎臓、足の先の神経には小さな血管が多く、糖尿病でこれらの血管がいたむとそれぞれに症状が出てきます。
小さな血管がいたんでくると、
目は網膜症という病気になります。糖尿病は、成人が失明する原因の第2位の病気です(第1位は緑内障)。
腎臓はおしっこを作る機能が落ちて体内の老廃物をおしっことして出すことができなくなり、人工透析が必要になります。
神経は足先や足の裏がジンジンする、というった症状(神経障害)を言われる患者さんが多いです。
これらはいずれもなかなか良くならない病気です。
糖尿病を早めに治療して、定期的に合併症が起こっていないかを確認することが大切です。
血糖をよくしておけば、このような糖尿病に引き続いて起こる病気を予防することができるでしょうし、起こったとしても初期の段階でとどめることができるでしょう。