糖尿病性神経障害 ~ あなどれない合併症(2)
前回のつづき
しびれを感じる神経以外にも、神経にはたくさんの種類があります。
血圧や消化管の調節を行う自律神経、しびれや痛みを感じる感覚神経、運動をつかさどる運動神経。
それぞれに細い神経があるので、小さな血管が走っています。この血管がいたむと、神経の働きが弱くなり様々な症状が出てきます。
〇自律神経が弱った場合
・急に立ち上がったとき、目の前が真っ暗になったり赤や青の星がちらちらしたことはありませんか?
急に立ち上がると、一番高いところにある脳へ流れる血液が減ってしまいます。自律神経は血圧を上げることによって、上の方にある脳への血流を確保します。血圧の調節がうまくいかないと、立ちくらみを起こしたり、めまいが続いたりします。
・緊張したらお腹が痛くなったことがあるでしょう。
自律神経は、胃や腸など消化管の動きも調節します。
食べたものからまだ十分に栄養を吸収していないのに排泄してしまってはもったいないですし、水分も多いので下痢になってしまいます。
逆に、食べたものから十分に水や栄養を吸収しても、まだ腸に残していたら栄養を吸収する効率が悪いですし、便秘になってしまいます。
このように、消化管の動きがうまく調節できないと、下痢や便秘をしてしまいます。
これらが自律神経が弱ったときの症状です。
(ちなみに、緊張すると自律神経の一つ、交感神経のはたらきが強くなり、胃がギュッと縮みます。この時痛みを感じるのです。)
〇運動神経が弱った場合
・運動神経が弱った場合・・・別にスポーツが苦手になるわけではありません。なかなか見えにくい変化なのですが、筋肉が減ってしまうという報告があります。筋肉は使われることによってその量が維持されます。
使わない筋肉はどんどん小さくなっていきます。(足を骨折をして1ヶ月ギプスを付けると、外した時の左右の足の太さが違うことに驚かれる方が多いです)
運動神経のはたらきが弱ることによって、筋肉の量がへってしまうなんらかの理由があるのでしょう。
次回、感覚神経が弱った場合の説明をします。