糖尿病性腎症 ~ 「見えない」糖尿病の「見えない」合併症(3)
前回のつづき
腎症第4期(腎不全期)
これも、糖尿病性腎症がずいぶん進み、腎臓の血管がいたんでしまって血液を漉(こ)しとる機能が非常に落ち込んでいる状態です。
腎臓が血液から老廃物を漉(こ)しとる量を「糸球体濾過(ろか)量」といいます。
血液を漉(こ)しとる部分は、細い血管がちょうど糸の球のような形をしているので糸球体と言います。それが老廃物を濾過する量が「糸球体濾過量」です。これは採血をすることである程度分かります。
この機能が非常に落ちてしまっている状態です。
具体的に数値を出すと、糸球体濾過量:GFR(eGFR) 30未満 ml/分/1.73m2です。
この第4期から、透析が始まる第5期に進んでしまうのを腎臓専門の先生の助言を受けながら食い止める、できるだけ遅くすることが大切です。
腎症第3期(顕性腎症期)
よく、「おしっこから蛋白が出ると良くない」とお聞きになると思います。
腎症第3期は、この「おしっこから蛋白が出ている」状態です。おおまかに、腎臓から1日にタンパク質が0.5g以上漏れています。検尿をすることで分かります。
健康な方でも、タンパク質が少し漏れ出ることがありますが、本来おしっこに含まれないタンパク質が出ているということは、腎臓の精密な構造が一部壊れていることをあらわします。タンパク質の量が増えるということは、それだけ壊れている範囲が大きいことを意味ます。
もう一つ、腎症第3期では尿中微量アルブミンというのも1日300mgほど漏れていますが、これはまた次回に。
蛋白が漏れていなくても、腎臓が老廃物を漉(こ)し取る量(糸球体濾過量)が減っていることもあります。つまり、腎臓の機能が落ちている可能性があります。
これは、採血をすることにより、糸球体濾過量がどのくらい下がっているかを調べます。
つづく